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常設展示ちょびっと改修 イトウと焼きハマグリ?

 本当に少しづつですが、常設展示の改修を行っています。新しい研究成果をお届けするのも、博物館の仕事の一つです。

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 栃原岩陰遺跡では、約160点の魚の骨が出土していますが、これまで展示では、単に「魚の骨」とされていました。これらを再鑑定した樋泉岳二氏によると、多くはサケ属の椎骨(背骨)でした。
 しかしその中に一点、これらとは別のイトウのものが見出されました。イトウは、現在はサハリンから北海道に生息する大型のサケ科の一種ですが、縄文時代早期での生息範囲や、内陸部の遺跡で発見された意味など、様々な研究課題が浮かんできます。

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 こちらは貝。栃原岩陰遺跡からは、カワシンジュガイを中心に約1900点の淡水生の貝が見つかっています。吉永亜紀子氏の観察によれば、これらの中に穿孔されているものや、刃部をもつものが含まれるようです。
 これまでは単に食用と考えられてきた淡水貝について、道具という新しい視点が生まれました。


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 また、ハマグリが焼かれていたことも分かりました。今のところその理由は不明ですが、これも今後の課題と言えます。

これからも、新しい視点からの展示に、ご期待ください。

ミニ展示 跡芝遺跡の縄文中期土器

 当館では、現在、館内レイアウトの見直しを行っておりますが、空いたスペースを利用し、ミニミニな展示をはじめました。第一弾は、先日『北相木村考古博物館報 Vol.4』で、芹沢一路さんによって報告された、村内跡芝遺跡の縄文中期土器です。

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 土器の詳しい特徴は芹沢さんの報告を参照していただき、この機会に、是非実物をご覧ください。造形的にもなかなかに素敵で、学術的にも興味深い土器ですよ。

 ライティングは、これから頑張ります!

『北相木村考古博物館研究紀要』第2号について

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『北相木村考古博物館研究紀要』第2号の配布が始まりました。
今回の内容は以下の通りです。

  • 栃原岩陰遺跡におけるシカ手骨格・足骨格利用の検討・・・吉永亜紀子

  • 栃原岩陰遺跡出土資料の3 D計測とデジタルアーカイブ化 -縄文時代早期深鉢形土器と骨角器を対象とした試行-
    ・・・野口 淳・藤森英二

     

共に、新しい視点から栃原岩陰遺跡の出土遺物を捉え直したものです。
北相木村考古博物館にて1冊500円で販売中ですが、PDF版が「全国遺跡報告総覧」からダウンロード可能です。
よろしくお願いいたします。