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北相木村考古博物館 「出土遺物3D化計画」発動

 北相木村考古博物館では「長野県地域発元気づくり支援金活用事業」として、栃原岩陰遺跡をはじめとする村内遺跡出土の考古遺物を、3Dデータ化し、パソコン(インターネット)上で共有、活用したり、複製品を手にとってもらう事業を展開します。
 そこで、まずはどんな遺物をデータで見たいか、また複製品を触ってみたいか、アンケートを実施しています。以下の中から一つ選んでください。今後の参考にして作業を進め、やがてはバーチャル北相木村考古博物館を目指しますよ。
方法は以下の3つ
a.下記のメールアドレスに番号を書いて送信
 メールアドレス kyouikuiinkai@vill.kitaaiki.nagano.jp

b.北相木村公式Twitterから選択
 (ただし期間は本日より一週間のみ)

c.博物館にあるパネルに投票シールを貼る

では、じっくりお選びください。

1大きな骨角器のコピー.JPG
エントリーNo.1・栃原岩陰遺跡出 17cmの骨角器(縄文時代早期)

2相木式のコピー.JPG
エントリーNo.2・栃原岩陰遺跡 その名も相木式土器(縄文時代早期)

3模様のある骨角器のコピー.JPG
エントリーNo.3・栃原岩陰遺跡 模様付き謎の骨角器(縄文時代早期)

4坂上土器のコピー.JPG
エントリーNo.4・坂上遺跡 不思議な文様の土器片詰め合わせ(縄文時代中期)


 この他にも、もし3D化希望の遺物がある方は、個別にご意見お寄せくださっても結構です。ぜひ、多くの方のご意見をお聞かせください。
 また同時に、栃原岩陰遺跡の岩陰部を3Dデータ化し、遺跡のVR体験も計画しています。新型コロナウイルスの状況を見ながら、作業の進展や体験可能な時期をお知らせしていきます。こちらもご期待ください。

常設展示何気に改修 栃原岩陰遺跡の奇跡・骨角器

IMGP0257.JPG

 縄文時代の遺物と言えば土器や石器が一般的ですが、これは土器石器が土の中でも腐らずに残りやすいためです。そしてもちろん、縄文時代の生活が、土器と石器のみで成り立っていたわけではありません。ですから条件さえ良ければ、動物の骨、植物遺体、貝殻、またそれらを材料にした道具などが見つかることがあります。
 栃原岩陰遺跡は、山間部の遺跡としては非常に珍しく、これらが多量に出土しており「1万年前のタイムカプセル」とも呼ばれます。しかし、このうち骨角器と呼ばれる動物の骨や角や歯で作った道具については、研究があまり進んでいません。シカやイノシシなどの動物を解体し、骨を割って磨いて仕上げたことは確かですが、形状も不可解なものが多く、なんのための道具か分かっていないものが多いのです。
 今回はこの骨角器の類を、なるべく一箇所に展示してみました。皆さんも実物を見て、骨角器の謎に挑んで見てください。

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現在、およそ70点の骨角器を展示しています。

常設展示ちょこっと改修 石器の展示も変えました!

 栃原岩陰遺跡では、小型の石器がおよそ4700点出土していますが、これまでは、石鏃と代表的なスクレイパー類の一部を展示しているのみでした。
 しかし、ここまでの研究では、厚さ約560cmの遺物包含層の中で、深さによって内容が変化することが分かってきています。
 例えば、-400cm以下では、小型三角形の石鏃や拇指状掻器(皮なめしに使う石器)が多いこと、小型で板状の原石が含まれることがあげられ、逆に-300cmより上の層では、やや大型の石鏃や、残核(石器製作に使われなかった部分)、さらに黒曜石以外の石器も目立つようになるなど、いくつかの違いが認められます。

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 今回は、これらが視覚的に分かるような展示を目指してみました。解説と合わせると、時期による変化を理解してい頂けると思います。 きっとそこには、道具の変化だけでなく、黒曜石をはじめとした石材の入手方法など、縄文人のライフスタイルの変化が隠されているのでしょう。